【日常絵日記】実家でバーベキューをした話。

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その日はあいにくの曇り空で、いまにもポツポツと雨が降り出しそうな天気だった。

足早に実家へ向かう。ただいまーっと母と犬に挨拶をして、裏庭にある物置小屋へ。バーベキューに必要なコンロや炭を取り出す。父が生前使っていたものだから、とても古い。

火をつける準備だけして、夫と一緒にスーパーへ。これも焼こうあれも焼こうと話しながら、お肉や野菜をつぎつぎカゴに入れていく。レジに並ぶ頃には、食材が山盛りになっていて、「こんなに食べきれるの?」と二人で顔を合わせて笑った。

いつも思うけど、バーベキューの買い出しって、なんであんなに楽しいんだろう。普段から行ってるスーパーなのに、まるで遊園地のように思えるから不思議。

家に帰って、さっそく炭に火をつける。時間かかるかな?と思ってたけど、夫がささっとやってのけた。お父さんがいたら「うまいなあ」と悔しがるだろうなと、ふと思った。

まだ雨は降っていない。予報も曇りマークに変わっている。これなら大丈夫そうだ。

炭がいい感じにパチパチ言い出すと、お母さんが食材を切って持ってきてくれた。庭で採れたナスやトマトも一緒に。

網にお肉や野菜を並べると、火がぶぉーっと強くなり、いい匂いの煙が立ちこめた。お腹が空いたのか、犬が少しそわそわしている。

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こんがり焼けたウインナーとビールがとんでもなくおいしかったのでそればかり食べていると、野菜も食べなさい!とお母さんに怒られた。子供に戻ったような気分になって、少し嬉しかった。

そんなお母さんも今日はめずらしく酔っ払っているよう。普段お酒なんてまったく飲まないだけに、ちょっとびっくり。頬を染めて楽しそうに昔話をしている。夫は優しい笑顔でそれを聞きながら、みんなのお皿に焼けたお肉や野菜を乗っけてくれた。その足元で「私にもちょうだい」とでも言いたげに、犬がいったりきたりしている。

幸せな風景。これ以上の贅沢は、もう望まない。

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お酒で火照ったほっぺたに、湿った夜風が気持ちいい。しばらくぽけーっとしていると、遠くからかすかに太鼓の音が聞こえてきた。どこかでお祭りでもやっているんだろうか。

ふと、お父さんのことを思い出す。バーベキューもお祭りも大好きな人だった。きっとみんなが上機嫌で楽しそうにしているこの雰囲気が好きだったんだろう。今の私になら分かる。

バーベキューの終盤、くすぶってる炭の余熱で、夫がマシュマロを焼いてくれた。楽しい時間の余韻のような、とろとろとしたやさしい甘さ。

今年はあと何回できるかな?そんなことを話しながら、名残惜しそうに片づけをして、その日はぐっすり眠った。