【日常絵日記】ポケモンGOとお兄ちゃんのこと。

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実家のリビングで母とポケモンGOをして遊んでいると、二階から兄がパタパタと降りてきた。

少し緊張する。ここ最近、兄とはまったく話をしていなかった。

兄は「おお、久しぶり」とぎこちなくあいさつだけして、冷蔵庫から飲み物を取って自分の部屋へ戻っていった。

今は元気そうにしているけれど、ここ数年、兄にはいろいろなことがあった。

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二年前、大企業でエンジニアとして活躍していた兄が、突然会社に姿を見せなくなった。連絡をもらい母が家に行くと、兄はベッドでうずくまり、周りにはウイスキーの瓶が何本もころがっていた。後日、医者からはうつ病と診断されたそう。

「心配するから妹には言わないで」と、兄は母に言ったらしい。自分が大変な時でさえ、私のことを気にかけてくれる。昔からそういう人だった。

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小さいころは、仲良し兄妹で有名だった。兄はゲームが得意だったから、よくファミコンや64で対戦して遊んでもらっていた。いつも兄には勝てなかったけど、それでもなぜか楽しかった。

当時大事そうにしていたポケモン「青」を貸してくれたのも兄だった。同級生は赤や緑を持っている子がほとんどだったから、少し誇らしかったのを覚えている。

あれから20年。大人になってほとんどゲームをしなくなった今、私と兄の間をつなぐものはなくなっていた。話はしたいけど、話題がないのだ。

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「お兄ちゃんってポケモンGOやってるのかな?」母に聞いてみるも、自分で聞いてと流された。

しばらくすると、兄がまたリビングに降りてきた。緊張しながら話しかけると、どうやら兄もプレイしているよう。スマホをポケットから取り出し見せてくれた。私よりはるかにたくさんのポケモンをゲットしている。やはり、兄には勝てない。

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スマホがぶるっと震えた。

「またポッポだ」私が笑うと、兄も笑った。久しぶりに笑顔を見た。大人になっても垂れ目がちな優しい目元はあのころのままだ。何も変わってない。

スマホを覗くと、何やら挑戦的な顔でこちらを見ているポッポと、その横で笑う兄がうつっている。兄とまたこんな風に遊べるなんて思ってもみなかった。それが嬉しくて、急いでスクショのボタンを押した。