寄藤文平さんの『ラクガキマスター』を読んだ感想。絵を描くことがもっと好きになる、そんな一冊でした。

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「私には絵のセンスがないなあ。」

いつのころからか、そんな風に思うようになりました。無理に上手に描こうとか、誰かに評価されようとか、そんなことを気にしすぎて、少し絵に対して卑屈になっていたように思います。

小さいころは、絵を描くのが大好きでした。家の中にあるモノ、例えばエンピツだったり消しゴムだったり長靴だったりボールだったり、そういったモノを擬人化して喋らせて、自分だけの物語を作って遊んだりしていました。その時間がなにより楽しかったし、充実していました。

大人になってそんな感覚すっかり忘れていたのですが、最近になってふと思い出すことがありました。きっかけは夫が持っていた一冊の本です。

『ラクガキ・マスター』という本。

ラクガキマスター

イラストレーターである寄藤文平(よりふじぶんぺい)さんが2009年に出版した本です。

寄藤文平さんという方、私はこの本で初めてお名前を知ったのですが、作品は何度となく見たことがありました。

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引用:たばこワールド

JTの「大人たばこ養成講座」や東京メトロのマナーポスターなどで見たことある方も多いはず。なんとなくゆるーい感じの独特なタッチが特徴です。

『ラクガキ・マスター』では、寄藤さんが普段どんなことを考えて絵を描いているのかが、たくさんのラクガキと一緒に分かりやすくまとめられています。

上手に絵を描くための本というよりは、頭で考えたことを絵で表現する力を鍛えるための(思い出すための?)本だと思っています。そんな風に書くと重々しい印象になりますが、想像よりずっと軽くてゆるっとした本です。

まずは平行線100本と円50個を描いてみよう。

線と円

本の最初はこんな感じのトレーニングから始まります。とてもゆるい。最初はふにゃふにゃしてしまう線や円も、毎日10分も練習していると、あっという間に上手に描けるようになるんですって。

平行線。円と楕円。立方体と円柱。この3つが描ければ、その応用で、たいていのラクガキは描けます。

なるほどなーという感じ。ここから、5つの章に分けて、線の描き方、立体の描き方、具体的な人や植物や動物の描き方などを教えてくれます。

フィギュアを使ってのポーズの描き方が分かりやすい。

第3章で、人のイキイキとした動作を描くために寄藤さんが考案したマスターモデルが出てくるのですが、それを使っての人の描き方というか、ポーズの描き方の説明がとても分かりやすかったです。

マスター

こんな感じのやつ。これを動かして描きたいポーズを考えていきます。右側の”恥ずかしがる人”は本を参考に描いてみたやつです。

このモデルのポイントは、胸と骨盤が分かれていることです。かがんだり、ねじれたりする複雑なカラダの動きを、とても考えやすくなります。特に骨盤の動きが重要で、この動きが動作を描くときにもっとも大切な手がかりになります。

説明の通りに練習していくと、描いた絵にどんどん表情が出てきます。個性が出るという感じ?仁王立ちの絵ばかり描いていた私の中の何かが変わった瞬間でした。

「何も描けない」時のイメージの作り方が参考になる。

音楽を聞いたり、小説を読んだりしていて、頭の中にパッとイメージが浮かんで絵を描いてみたくなったけど、いざ描こうとすると何も描けない。そんな経験をしたことはないでしょうか?

頭の中に絵を思い浮かべることと、それを絵にすることの間には、大きな溝がある。

絵を描いたことある人なら、あるあるーという感じかなと思います。では、実際にどうしたらその溝が埋まるのか。

寄藤さんはまず箱庭のようなものをイメージするんだとか。そこから図鑑で調べたり推測したりして、どんどんイメージに近づけていく。文章で書くと分かりにくいですが、本の中では絵で分かりやすく説明されています。プロってすごいなーと、まさに目からウロコでした。

最後に・・

ラクガキマスター2

この本の中では、私が小さいころに家にあるモノを擬人化して描いて遊んでいた時のような絵がたくさん出てきます。目で見たモノをそのまま描くんじゃなくて、自分なりにいろいろと想像して描くことで、なんでもないモノがまるで生きているように感じられる瞬間が、あのころはきっと楽しかったんだろうなと思います。

大人になるにつれ、忘れてしまった強い感受性をこの本は少し思い出させてくれました。

  • 絵を描くのは好きだが、自分にはセンスがないと思っている。
  • 最近絵を描くのにちょっと疲れてきた。
  • アイディアを絵にする能力が欲しい。
  • ただゆるいイラストを見て笑いたい。

こんな方には特におすすめしたいです。

久しぶりに、なんか描いてみるか。」そんな風に思える一冊です。


ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン
寄藤文平
美術出版社
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