「他人の気分に左右される」「人混みにいると疲れやすい」「些細なことにもすごく驚いてしまう」
小さなころから悩んできた繊細さ。漠然と感じていた生きづらさ。そういったものがHSPという生まれ持った気質によるものかもしれないと知ったのは、ある一冊の本がきっかけでした。
それが精神科医である長沼睦雄先生著『敏感すぎる自分を好きになれる本』です。
何気なくamazonを見ていた時に偶然見つけ、タイトルが気になり購入。1ページ2ページとめくるたび、自分のことが書かれているような気がして夢中になって読みました。
読み終わった後は心がぱっと晴れ渡り、今までにないくらい前向きな気持ちに。昔から自分に対して抱いていた複雑な気持ちや、それについて周囲にうまく説明できないもどかしさに、この本が答えをくれました。
今回はそんな『敏感すぎる自分を好きになれる本』で私が特に共感した部分と、HSPについて少し書いていきたいと思います。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
目次
とても敏感な気質を持つ「HSP」とは。
本の話に入る前に、HSPについて少し説明しておきますね。
HSPは「Highly Sensitive Person」の略で、日本語だと「とても敏感な人」という意味になります。1996年にアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。
以下に『敏感すぎる自分を好きになれる本』から引用した、HSPか否かを判定するチェックリストを載せました。「もしかしたら自分もそうかも?」と思った方は当てはまるかどうかぜひやってみてください。
- 自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
- 他人の気分に左右される
- 痛みにとても敏感である
- 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
- カフェインに敏感に反応する
- 明るい光や強い匂い、ざらざらした布地、サイレンなどの音に圧倒されやすい
- 豊かな想像力を持ち、空想に耽(ふけ)りやすい
- 騒音に悩まされやすい
- 美術や音楽に深く心動かされる
- とても良心的である
- すぐにびっくりする(仰天する)
- 短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
- 人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
- 一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
- ミスをしたり、物を忘れたりしないようにいつも気をつける
- 暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
- あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
- 空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
- 生活に変化があると混乱する
- デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
- 動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
- 仕事をする時、競争させられたり、観察させられていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
- 子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた
以上がチェックリストです。もし12個以上当てはまれば、あなたはHSPである可能性があります。(ちなみに私は19個でした・・!)
著者の長沼先生いわく、当てはまるものが1つしかなくても、それが非常に強い傾向であればHSPである可能性があるとのことです。
5人に1人いるらしい。
昔はよく、「なんで自分だけこんなに繊細なんだろう・・」と悩んだりしていましたが、HSPという概念を提唱したアーロン博士によると、この気質を持つ人は、どの社会でも15〜20%の割合でいるんだそうです。
つまり5人に1人は繊細な人ということ。自分が知らないだけで、同じように悩んでいる方はたくさんいるんだと知って、なんだか胸がいっぱいになってしまいました。。
『敏感すぎる自分を好きになれる本』を読んで共感したポイント。
本の中で私が特に共感したポイントや、参考になった部分を挙げていきたいと思います。
クヨクヨしてしまうのはあなたが「弱いから」ではない。
自分の敏感さに悩んできた人の多くは、些細なできごとに落ち込んだり、周囲の人の何気ない一言に傷ついたりするたびに、「自分はなんて弱い人間なんだ・・」と自分自身を責めてきた経験があるんじゃないでしょうか。
私自身そうやって自分を責めるたびに、「もっと強くならないと!」「社交的にならないと!」と、無理やり苦手な環境に飛び込み、自分を変えようとしてきました。きっと同じような経験をしてきた方が多いんじゃないかなと思います。
『敏感すぎる自分を好きになれる本』はそんな私に、繊細さは弱さではなく、生まれ持ったHSPと呼ばれる気質のせいかもしれないということ。努力が足りないわけでも怠けているわけでもないということを教えてくれました。
HSPという概念があるんだということを知れただけでも安心しましたし、自分を責めるのをやめようと思えるきっかけになりました。
HSPの「感動する才能」は、人生を豊かにする。
HSPの中には、美しい絵画や音楽、小説や詩に魂が震えるほど深く感動できる方が多いそうです。著者の長沼先生いわく、HSPの敏感な五感や豊かな感受性が、美しいものや人生の真理に深く反応し共感するためではないか、とのこと。
私の周りのHSPだと思われる方を思い浮かべてみると、確かにそうだなぁと納得できました。また、私の経験上そういう人は芸術だけでなく、何気ない日常の中でも些細なことに感動できる才能の持ち主が多い気がします。誰かのちょっとした心遣いに目を潤ませたり、温かな手料理に深く感謝したり・・本当に素敵な方が多いです。
「感動する才能」は、人生を豊かにする。そう考えると、HSPの自分を誇らしく思えるような気がしました。
プラス思考ではなく「プラスの感情」を大事にする。
些細な失敗にひどく落ち込んでしまいがちなHSP。そういう時「もっとプラス思考にならなきゃ」と無理をしてしまうことってありますよね。
私も学生時代、授業中に先生に指された問題に答えられなかった時など、ひどく落ち込んでその日一日何も考えられなかったことがありました。周りの友人から、「イヤなことはさっさと忘れればいいのに」なんて言われるのですが、そんなにうまく気持ちが切り替えられないんですよね・・orz
著者の長沼先生いわく、落ち込んでいるときにプラス思考を実践することは実は難しいことなんだそうです。それよりも、楽しかったり嬉しかったりするような「プラスの感情」に重きをおいたほうがうまくいくことが多いんだとか。
例えば、思いっきり笑えるようなお笑い番組を見たり、大好きなアーティストの曲を聴いたりして、「楽しいなぁ、心地いいなぁ」と感じた後に、「前向きに頑張ろう」と考えるようにすること。そうすれば、頭も素直に反応してくれますよ、とのことでした。
これを知ってから、心のバランスの取り方がうまくなったように思います。些細なことでも落ち込んでしまいがちな方は、ぜひ試してみてください。
そのほかにも・・
- 敏感すぎる自分に振り回されずに生きるには
- 敏感な人が陥りやすい「困ったこと」の対処法
- 身近な人が「敏感な人」だったら
などなど、『敏感すぎる自分を好きになれる本』にはHSPに関するさまざまな事柄が載っています。今回私が紹介したのはほんの一部なので、ぜひ本も手にとって読んでみてください。
また、身近にHSPと思われる方がいる方や、お子さんが「繊細すぎるかも・・」と感じているお母さんや学校の先生に向けた情報も載っています。悩んでいる方にとってはすごく助けになる一冊だと思います。
最後に・・
HSPの繊細な感性は、ひらめきやセンス、感受性といったものが重要視されるクリエイティブな仕事に向いているそうです。
これまで繊細すぎる自分を、「弱い」「めんどくさい」と責めながら生きてきましたが、その繊細さは時として素晴らしい力を発揮するということを知り、自分を少し誇らしく思えるきっかけになりました。
ちなみに、長沼先生いわく、自分がHSPであることを意識しすぎるとかえって周囲の刺激に敏感になりすぎることもあるそうなので、自覚はしつつも意識しすぎないようバランスをとりながら過ごしたいと思います。
何か少しでも参考になれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。