私が江國香織さんの本を読むようになったのは、大好きな愛犬を亡くしたことがきっかけでした。
泣いて泣いて泣きまくって、この悲しみはどうしたら癒えるのだろう・・と途方に暮れていた時に「デューク」というお話に出会い、それから江國香織さんの世界にのめりこむように、何冊も何冊も読んできました。
今回はそんな私が特に好きだった7冊の文庫本を紹介したいと思います。とはいえ、まだ読んでない作品もたくさんあるので、お気に入りが見つかれば随時追記していきたいと思います。
個人的な感想になってしまいますが、参考にしていただければ幸いです。
目次
『つめたいよるに』
私が初めて読んだ江國香織さんの作品です。犬を亡くした女の子が主人公の「デューク」をはじめ、江國さんのデビュー作であり切なくてゾクッとするような恋のお話「桃子」、侍の幽霊と女優の母をもつ男の子の話「草之丞の話」など、21編からできています。
一つ一つのお話がとても短いのですが、いい意味でがつんっとインパクトを与えてくれるような作品が多かったです。特に「デューク」は5分もあれば読めちゃうくらい短いお話なのですが、一生忘れないだろうなぁと思うくらい感動したし、同時にとても癒されました。
現実にはありえないようなお話もあるのですが、こんなことも起こるかもなぁとなぜだか思えてしまいます。想像力を膨らませたい時や、現実から少し離れたい時におすすめの作品です。
『神様のボート』
ネットのレビューで評価が高かったので気になって読んだ小説です。かつて骨ごと溶けるような恋をした相手を待ちながら引越しを繰り返す母と、その側で成長していく娘のお話。
少し狂気を感じるほど一人の人に恋をしている母・葉子と、その近くで大人へと成長していく娘・草子の二人の生活が丁寧に描かれています。現実的にしっかりと大人になっていく草子に対し、葉子はなんだかいつも夢見がち。二人ともお互いを思いやって生活しているのですが、草子の成長とともにだんだんとズレが出てきます。
母と娘はどうなっていくのか、母は恋しい人と再会できるのか・・気になってページをめくるうちに、あっというまに一冊読み終わってしまいました。読後の余韻がすごいというか、考えさせられる感じだったのもよかったです。おすすめです。
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
江國さんの作品では二番目に好きな小説です。登場人物は主婦やお花屋さんのオーナー、編集者にモデルなどさまざまな肩書きの女性たち。その全員の恋愛模様が日常の中でからみあっていく様子が描かれています。
昼ドラほどどろどろしているわけじゃないけれど、そういうものを見ている時のドキドキ感というか、人の秘密の日常を覗き見しているような気分になって面白かったです。
登場人物にお花屋さんがいるのでお花の名前もたくさん出てきますし、女性たちが着ている洋服やキレイな風景の描写もよく出てくるので全体的に色鮮やかでオシャレな感じのする小説です。でも、それだけじゃありません。突然の展開にドキドキさせられることもありましたし、軽率な行動にイライラさせられることもありました。何かと感情を揺さぶってくれるお話です。
『すいかの匂い』
江國さんの作品では、今のところ『すいかの匂い』が一番好きです。こちらも短編集になっていて、少女がひと夏に経験した思い出の記憶が描かれています。
タイトルだけ見ると、少女たちの爽やかな夏休みの思い出など描いた短編集なのかなぁと思ったのですが、私の想像とはかなりかけ離れたお話でした。。もっと暗くてどんよりとした感じ。でもそれが不思議と懐かしくて夢中になって読んでしまいました。
小さい時にふと見てしまった大人の暗い部分とか、クラスで孤立していた子のお家のこととか、見るつもりはなかったのに見てしまい心の奥深くに刻まれてしまったダークな思い出って誰しもあるんじゃないかと思います。それをひょいっと掘り起こされるような、そんな作品でした。
決して明るいお話ではありませんが、この仄暗さが好きな方も多いはず。
『すきまのおともだちたち』
表紙の絵が可愛いですよね〜。本の中にも挿絵があって、大人の絵本という感じのかわいらしい作品です。
主人公は新聞記者の女性。仕事先で訪れた街で道に迷い、帰れなくなったところである小さな女の子に出会います。女の子はお話のできるお皿と一緒に住んでいて、庭で育てたレモンの木からレモネードを作り、針仕事をしながら暮らしているしっかり者。主人公の女性はお客さんとして女の子のお家にもてなされ、女の子との不思議な友情を築いていきます。
現実にはありえないような不思議なお話なのですが、「もしかしたら自分にも起こるんじゃないか」と思わせてくれるようなリアルさがあります。ときどき目に飛び込んでくる挿絵もかわいらしく、物語の世界観をより素敵なものにしていました。
「癒されたい」「元気が欲しい」そんな方にはぜひおすすめです。
『きらきらひかる』
同性愛者で恋人がいる夫・睦月と、アルコール依存症で心が不安定な妻・笑子を中心に展開していく小説です。
奔放でかわいらしいけど不安定な笑子と、そんな笑子を優しく見守る睦月。そしてもう一人重要人物として睦月の恋人である紺が登場するのですが、彼がまた無邪気で思いやりがあるとても魅力的な人物で・・。
もっと少しずつ大事に読もうと思っていたのですが、三人がどうなっていくのか気になって結局一日で読んでしまいました。愛ってなんだろう?なんて考えさせてくれる一冊です。
詩集『すみれの花の砂糖漬け』
こちらは江國さんによる詩集ですね。タイトルと表紙がかわいくて購入しました。
タイトルを見てふんわりとした女の子的な詩集かと思いましたが、もっともっと繊細で孤独な感じの詩が多かったです。大人の女性の中にある危うくて繊細な少女の心が表現されているような気がしました。江國さんの小説が好きな方なら、きっとお気に入りの一冊になるんじゃないかと思います。
最後に・・
今回は江國香織さんの個人的なおすすめ作品をまとめてみました。
分かりにくい箇所もあるかもしれませんが、個人的な意見として参考にしていただければ嬉しいです。
またお気に入りの作品が見つかったら随時追記していきますね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。